久生十蘭 『だいこん』

1945年の8月15日というのは日本の降伏を当時の天皇がラジオ放送により国民に伝えた、いわゆる玉音放送があった日です。久生十蘭の『だいこん』という短編では8月15日から9月2日 (降伏文書に調印した日) までの出来事が描かれていますが、登場人物が国際派の上流階級の子女というのが異色です。

考えてみれば、第二次世界大戦を通して中立を貫いた国々 (スイスやスウェーデンなど) があり、それらの国々の大使館が東京にあり、戦争中も大使館に勤務する外交官や職員がいたはずで、また当然ながら彼らと交際する日本人もいたはずです。

『火垂るの墓』などの作品から戦時下の日本人の暮らしぶりを推測すると、物資がことごとく窮乏する中で自由に考えることも許されないモノクロの世界でみな息をひそめて生きていた、そういうイメージで一面的に捉えてしまいがちですが、現実の人間の生き様はもっと多様だったのかもしれません。

久生十蘭 だいこん


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